日本語が崩れず正しく生成するA画像プロンプトの書き方

「秋の新作フェア」と頼んだのに、画像の中には読めない漢字が並んでいる。2024年ごろまでの画像生成AIでは、これが当たり前でした。

2026年のいまは事情が違います。Seedream、Nano Banana Pro、GPT Imageといった現行のモデルは、日本語の見出しを1回の生成で正しく描けます。それでも崩れるときは、原因がモデルか指示文のどちらかにあります。この記事では原因を4つに分けて説明し、それぞれの直し方と、そのまま使えるプロンプトをご紹介します。

日本語が崩れる4つの原因

テキストエンコーダーが文字の形を知らない

画像生成AIは、プロンプトをまずテキストエンコーダー(文章を数値に変える部品)に通します。初期のStable Diffusionが使っていたCLIPは、文章をトークンと呼ぶ断片に切って読むため、断片には「どの文字が何個並ぶか」という情報がほとんど残りません。

日本語はさらに不向きです。CLIPのトークナイザー(文章を部品に切り分けて番号を振る係)は、ひらがなや漢字をいったんUTF-8のバイト列に崩してから切り分けます。そして、CLIPが一度に読める長さも77トークンまでです。

例えるなら、「新作」という字を見せる代わりに「E6 96 B0 E4 BD 9C」という番号の列を渡して、絵に描いてと頼むようなものです。それらしい形は描けても、正確な漢字を描写することは難しいです。

Googleの研究チームは2023年の論文でこの問題を検証しました。テキストエンコーダーを文字単位で読むByT5に替えると、英単語のつづりの正確さが25ポイント以上上がっています。つまり、文字崩れの大きな原因は、AIが画像やイラストを描く力よりも文字を読む力にあります。

覚える文字が多く、日本語の学習データが少ない

英語は26文字の組み合わせで済みます。日本語はひらがなとカタカナで約90字、常用漢字だけで2,136字あります。一方、学習に使う「文字入り画像と説明文のペア」は英語が大半です。

出現回数の少ない漢字ほど、それらしい別の形に置き換わります。画数の多い字や、「績」と「積」のように似た字があるものは特に崩れます。

画像を縮めた状態で描いている

初期の画像生成AIは、画像をそのままの大きさで描きませんでした。VAE(画像を小さく圧縮する部品)で縦横を8分の1にした下書きの上で描き、最後に元の大きさへ戻します。1024×1024の画像なら、下書きは128×128です。そして、Stable Diffusion 1.5やSDXLは下書きの1マスに4つの数値しか持たせておらず、高さ64pxの文字は8マス分になり、「鬱」のような字の細い線はここで潰れます。

いまのモデルは、この部分も改良されています。FLUXやSD3は縮め方こそ8分の1のままですが、1マスに持たせる数値を16に増やしました。Seedream 4.0は、さらに強く圧縮しながら1K〜4Kの画像を直接生成する設計です。それでも、画面に対して小さすぎる文字は今もにじんでしまうため、文字を大きく解像度を高くする対策は現行モデルでも有効です。

プロンプトの中で、描く文字と説明が混ざっている

モデルが日本語に対応していても、指示の書き方で崩れてしまいます。

  • 文言を「」で囲まず、説明文に混ぜているため、モデルはどこまでが描く文字か判断できない
  • 画像1枚に見出し、価格、日付、注意書きを全部入れている。
  • 文字の位置と大きさを書いていない。
  • 「日本語で」と指示が書かれておらず、中国語の字形が混ざることがあります。

原因ごとの直し方

原因起きること直し方
1. エンコーダー文字を断片でしか読めない文字単位で読む仕組みを持つモデルを選ぶ
2. 学習データ珍しい漢字が別の字になる見出しを短くし、よく使う語で書く
3. 圧縮小さい文字が潰れる2K以上で生成し、見出しを画面の高さの8%以上にする
4. 指示文描く文字と説明が混ざる文言を「」で囲み、位置・書体・色・大きさを文言ごとに書く

日本語を文字として正しく受け取っているモデルを選ぶ

2025年以降の主要なモデルは、原因1への対策を設計に組み込んでいます。

ByteDanceのSeedreamは、2.0の技術報告で仕組みを公開しており、大規模言語モデルのテキストエンコーダーに加えて、文字の形を1文字単位で渡す「Glyph-Aligned ByT5」を併用しています。5.0 Proの公式ページには、日本語を含む十数言語の生成例が並んでいます。

AlibabaのQwen-Imageは、画像も読める言語モデルQwen2.5-VLをエンコーダーに使っています。中国語の段落まで描けるよう、短い文字から長い文章へ段階的に学習させています。

GoogleのNano Banana ProとOpenAIのGPT Imageは、言語モデルと一体になった画像生成です。プロンプトの日本語を文章として理解してから描きます。

反対に、Stable Diffusionの系列は、最新のSD 3.5でも日本語が安定しないという意見もあります。SD 3.5やFLUX.1は、プロンプトを読む部品にCLIPとT5を使っています。T5の辞書は英語・フランス語・ドイツ語・ルーマニア語をもとに作られていて、日本語の文字は「辞書にない文字」として扱われがちです。モデルが文字を正しく受け取れないので、プロンプトをどう工夫しても日本語は安定しません。文字崩れが続く場合は、まず使っているモデルの名前を確認してください。

文字数を絞る

現行のモデルでも、文字が多いほど1字あたりの精度は落ちます。出力する際は次の目安で作成してみてください。

  • 見出しは1行12字以内、2行まで
  • 1枚に入れる文字のかたまりは3つまで(見出し、補足、価格など)
  • 社名、商品名、価格、日付は、生成後に1字ずつ照合する

解像度と文字の大きさを上げる

1024px四方の画像に小さい文字を入れると、潰れたりにじんだりします。2K(2048px)以上で生成できるモデルを選び、見出しは画面の高さの8%以上にしてください。(1080pxの画像なら約90pxになります。)

プロンプトで描く文字を区切る

描く文字は「」で囲み、説明文と分けます。文言ごとに位置、書体、色、大きさを書きます。最後に「指定した文字以外は描かない」と添えると、意味のない文字列が背景に混ざりません。

プロンプトを作成する際のポイント

書き直す前と後のプロンプトを見比べつつ、プロンプト作成時のポイントについてまとめました。

書き直す前

秋の新商品セールのバナー。秋の新作フェア 20%OFF 10月31日まで の文字入り。おしゃれな感じで

この書き方では、モデルは「文字入り」がどこからどこまでかを判断できません。「おしゃれな感じ」も、文字をどう置くかを決める情報になりません。

書き直した後

16:9、2K。秋の新商品フェアのバナー。画面右に陶器のマグカップ、左に文字を置く。
見出し:「秋の新作フェア」左上、太い明朝体、白、画面高さの12%
補足:「20%OFF」見出しの下、太いゴシック体、オレンジ(#E8A33D)、画面高さの10%
期間:「10月31日まで」左下、細いゴシック体、白、画面高さの5%
文字はすべて日本語。指定した3つ以外の文字、ロゴ、透かしは描かない。

項目書き直す前書き直した後
描く文字の区切り説明文に混ざっている「」で3つに分けた
位置指定なし左上・見出しの下・左下
書体と色「おしゃれな感じ」明朝体/ゴシック体、白とオレンジ
大きさ指定なし画面高さの12%・10%・5%
余計な文字制限なし3つ以外は描かないと明記

書き直した後は、モデルが推測で埋める部分がほとんどありません。その分、生成1回目で使える画像が出やすくなります。

コピペ用プロンプト

あなたは日本語のタイポグラフィに詳しい広告デザイナーです。
以下の条件で、日本語の文字を含むSNS用バナーを1枚生成してください。

【用途】〔例:秋の新商品フェアのX投稿用バナー〕
【比率・解像度】〔16:9〕、2K以上
【背景と被写体】〔例:木のテーブルに置いた陶器のマグカップ。湯気。斜め後ろからの自然光〕
【レイアウト】被写体は画面の〔右60%〕。文字は画面の〔左40%〕の無地に近い面に置く。

【描く文字】「」内を一字一句そのまま描く
1. 見出し:「〔秋の新作フェア〕」
   位置〔左上〕、書体〔太い明朝体〕、色〔#FFFFFF〕、大きさは画面高さの〔12〕%
2. 補足:「〔20%OFF〕」
   位置〔見出しの下〕、書体〔太いゴシック体〕、色〔#E8A33D〕、大きさは画面高さの〔10〕%
3. 期間:「〔10月31日まで〕」
   位置〔左下〕、書体〔細いゴシック体〕、色〔#FFFFFF〕、大きさは画面高さの〔5〕%

【文字の条件】
- 文字はすべて日本語。簡体字や繁体字の字形を混ぜない
- 文字と背景のコントラストをはっきりさせる(白文字なら背景を暗く)
- 文字を被写体や画面の端に重ねない。四辺に画面幅の5%以上の余白をとる
- 上の3つ以外の文字、数字、ロゴ、透かし、署名は描かない

【仕上げ】写真風、浅い被写界深度、商品の質感をはっきり出す
English keywords: Japanese typography, crisp legible text, exact characters, clean layout, high resolution

使い方

  1. 〔 〕の中を自分の案件に書き換えます。描く文字は「」の中だけを差し替えてください。
  2. 文字の描写を強みにしているモデルを選び、2Kか4Kで生成します。illuminAIなら、Seedream 5.0、NanoBanana Pro、GPT Image 2.0などです。
  3. 1文字だけ違っていたら、作り直さずに画像編集で「『積』を『績』に直す。他は変えない」と頼みます。
  4. 字がにじむときは、大きさの%を上げるか、文字のかたまりを1つ減らして生成し直します。

生成前のチェックリスト

  • □ 描く文字をすべて「」で囲んだ
  • □ 文言ごとに位置、書体、色、大きさを書いた
  • □ 文字のかたまりは3つ以内、見出しは12字以内に収めた
  • □ 見出しを画面の高さの8%以上にした
  • □ 2K以上で生成する設定にした
  • □ 「指定以外の文字は描かない」と書いた
  • □ 生成後に社名、商品名、価格、日付を1字ずつ照合した

注意点

商用利用と規約

生成した画像を広告に使えるかは、ツールとモデルごとに規約が違います。出稿の前に該当する条文を読んでください。

他社のロゴや商標

実在するブランド名やロゴを画像に描かせないでください。文字がきれいに出るようになった分、模倣の線を越えやすくなっています。

誤字チェック

価格や期間の誤記は、広告ではそのまま誤った表示になります。モデルの精度が上がっても、最後の照合は人の目で行ってください。

機密情報の取り扱い

未発表の商品名を入れた画像を、入力データを学習に使う設定のツールで作らないでください。

無料プランと有料プランの使い分け

無料プランは解像度が低いことが多く、原因3の圧縮で文字が潰れやすくなります。構図の確認は無料プランで、文字入りの本番は高解像度が出せるプランで作ると、クレジットを無駄にしません。

illuminAIで試す場合

illuminAI(イルミンエーアイ)は、株式会社ビヨンドが運営する日本語の画像・動画生成サービスです。2026年9月時点の画像生成モデルは、Seedream 4.0と5.0、NanoBananaシリーズ、GPT Image 1.5と2.0です。NanoBananaにはPro、2、それぞれの4K版があります。モデルを切り替えて同じプロンプトを試せるので、上の記録表をひとつのサービスの中で埋められます。

生成物の著作権は利用者に帰属し、利用規約の範囲で商用利用できます。Freeプランは毎月20クレジットで、クレジットカードの登録はいりません。ただしFreeプランの解像度は480pなので、文字入りの本番には有料プランを使ってください。料金と搭載モデルは変わることがあります。最新の情報は公式サイト(https://illumin-ai.io)で確認してください。