
AIで動画を作ってみたら、被写体が途中で溶けたり、頼んでいないのにカメラが勝手にズームして使えない映像になった。そんな経験はありませんか?
text-to-video(テキストから動画を生成する技術)は2026年に入って一気に実用レベルへ進みました。Veo 3.1、Kling 3.0、Sora 2のように、短い文章から数秒の映像を作れるツールが身近になっています。一方で、文章を雑に投げると破綻しやすいのも事実です。
今日は、短尺動画を安定して作るための「指示の分け方」を、コピペできるプロンプトと一緒に共有します。
結論は「一文に詰め込まない」
うまくいかない最大の原因は、伝えたいことを一文に全部詰め込んでしまうことだと考えています。安定させるコツは、指示を「被写体」「動き」「カメラ」「光」「スタイル」の5つに分けて書くこと。プロの映像現場が絵コンテで要素を分けて指示するのと同じで、AIにも役割ごとに渡すと、ぐっと破綻が減ります。
なぜ「5分割」が効くのか
理由は3つあります。
1つ目は、AIは長い一文ほど「どの要素を優先すべきか」を見失い、要素どうしが混ざって溶けてしまうからです。情報を分けて並べると、AIに優先順位が伝わりやすくなります。
2つ目は、動画は静止画と違って「時間」と「動き」という変数が増えるからです。動きとカメラを言葉にしておかないと、空いた部分をAIが勝手に補完し、意図しないズームや回転が起きます。
3つ目は、要素ごとに分かれていれば部分修正がしやすいからです。「光だけ変える」「カメラだけ固定にする」と一箇所ずつ直せるので、最初から作り直す必要がなくなり、結果的に速く仕上がります。
5つの指示を1つずつ設定する
「被写体」は、何が・何人・どんな見た目かを具体的に書きます。「女性」より「30代女性、窓際の木製テーブル、湯気の立つマグ」のほうがブレません。
「動き」は、動作動詞+速度+方向の3点で指定します。「歩く」ではなく「ゆっくり歩く、左から右へ」のように書くと、AIが動きを補完して暴れるのを防げます。
「カメラワーク」は、専門用語をそのまま使うのがコツです。「dolly-in(前進)」「pan left(左へ首振り)」のような言葉は、多くのツールがそのまま解釈してくれます。
「ライティング(光)」は、時間帯や光源を指定します。「朝の柔らかい自然光」「窓からの逆光」のように書くだけで、映像の質感が大きく変わります。
「スタイル」は、実写風かアニメ風か、画質や雰囲気を一言で添えます。最後に尺(5秒など)とアスペクト比(縦型なら9:16)も忘れずに。
そして全体を貫く最大のコツは、最初から全部入れないことです。まず「被写体+シーン」だけで試し、土台が良ければ動き→カメラ→光→スタイルと段階的に足していきます。短尺ツールでは「4秒で試作し、8秒で本番」にすると安定すると報告されています。
曖昧な指示を分解してみる
たとえば「カフェで女性がコーヒーを飲む動画」という曖昧な指示を、5要素に分解すると次のようになります(あくまで例示です)。
| 要素 | 曖昧版 | 分解した指示 |
|---|---|---|
| 被写体 | 女性、コーヒー | 30代女性、窓際の木製テーブル、湯気の立つマグ |
| 動き | (指定なし) | マグを両手で持ち上げ、ゆっくり一口飲む |
| カメラ | (指定なし) | slow dolly-in(ゆっくり前進)、浅い被写界深度 |
| 光 | (指定なし) | 朝の柔らかい自然光、窓からの逆光 |
| スタイル | (指定なし) | 実写風、シネマティック、5秒、9:16 |
同じ題材でも、右側のように分けて書くだけで、AIが迷わずに済みます。
コピペで使える設計プロンプト
ラフなアイデアを、破綻しにくい構造化プロンプトに整えるためのものです。お使いのツール(Veo / Kling / Sora / illuminAI など)に貼り付けてください。
あなたはAI動画生成のプロンプト設計者です。
# 目的
わたしが渡すラフな動画アイデアを、text-to-videoツールで破綻しにくい構造化プロンプトに整えてください。
# 入力(わたしが埋めます)
・作りたい動画:〔例:商品のマグカップを魅力的に見せる短尺SNS動画〕
・尺:〔5秒 / 8秒〕
・用途:〔Instagramリール / 広告 / 商品ページ〕
・避けたいこと:〔人物の指の破綻、過度なズーム 等〕
# 出力ルール
1. 必ず「被写体/動き/カメラワーク/ライティング/スタイル・画質/尺・アスペクト比」の6項目に分けて記述する。
2. 動きは「動作動詞+速度+方向(または視点)」で書く。
3. カメラワークは英語の専門用語を併記する(dolly-in, pan left, rack focus, drone shot, macro close-up 等)+日本語補足。
4. NG要素(避けたいこと)を否定形で明記する。
5. まず「被写体+シーンだけの最小版」と、「全要素入りの完成版」の2段階を提示する。
6. 最後に、生成が崩れた場合の微調整案(どの1要素をどう直すか)を3つ提案する。
# トーン・制約
・実在の人物や既存ブランド・キャラクターは指定しない。
・誇張表現は避け、実際に通る具体的な記述にする。
出力は表形式で見やすく。
使い方は次の4ステップです。
- 入力欄の〔 〕を自分の企画に置き換えます。
- 出てきた「最小版」でまず生成し、土台を確認します。
- 問題なければ「完成版」で生成し、崩れたら提案された微調整を1つずつ試します。
- 気に入った構図はプロンプトを保存し、被写体だけ差し替えて量産します。
カメラワーク用語ミニ辞書
そのまま指示に使える言葉をまとめました。
- dolly-in:被写体へ前進/dolly-out:後退
- pan(left・right):左右の首振り
- tilt(up・down):上下の振り
- orbit・drone shot:被写体の周囲を回り込む
- rack focus:手前と奥でピントを送る
- macro close-up:接写
迷ったときは「slow dolly-in」か「static shot(固定)」が破綻しにくく無難です。
投稿前チェックリスト
生成前にこの5項目を確認すると、やり直しが減ります。
- 被写体は具体的か(人数・見た目)
- 動きに「速度と方向」が入っているか
- カメラ用語を1つ指定したか
- NG要素を否定形で書いたか
- 尺とアスペクト比(9:16など)を指定したか
実務で気をつけたいこと
著作権・商用利用は、生成物の権利やライセンスがツールごとに異なります。商用で使う前に、必ず各ツールの利用規約を確認してください。実在の有名人や既存キャラクター、他社ロゴを動画化するのは権利侵害のリスクが高いので避けるのが安全です。
AIの「得意・不得意」も知っておくと安心です。短尺・単純な動き・抽象的なシーンは得意ですが、複雑な手の動きや、映像内で読める文字、長尺での一貫性は今も苦手です。文字やロゴは動画生成に任せず、後から編集ソフトで重ねるほうが確実に仕上がります。
無料と有料は使い分けると無駄がありません。構図やアイデア出しは無料・低解像度で何度も試し、本番の高解像度書き出しだけ有料を使うと、コストを抑えられます。なお、社外秘の商品情報や個人情報をプロンプトに入れるときは、入力データの扱い方針を事前に確認してください。
日本語で動画生成を試すなら
動画生成を日本語で気軽に試したい方には、わたしたちが運営しているilluminAI(イルミンエーアイ)も選択肢の一つです。テキストから動画、画像から動画の生成に対応していて、無料プランは毎月20クレジット・クレジットカード登録なしで始められます。生成物は商用利用が可能です。
まずは短い動画から試して、要素の分け方に慣れていくのがおすすめです(最新の料金・仕様は公式 https://illumin-ai.io でご確認ください)。
おわりに
最初は固定カメラの5秒から、で十分です。指示を5つに分けて渡すだけで、動画AIの歩留まりは目に見えて上がります。今日のプロンプトとチェックリストを、ぜひ次の一本で試してみてください!
