商品写真1枚を縦型ショート動画に変える、画像→動画プロンプト設計の型

SNSに出す短い動画が必要になったものの、撮影の予定は押さえられず以前撮った商品写真が数枚あるだけ。こういった状況は、規模の大小を問わず起きています。

画像から動画を生成する機能は日々進化しつつも、実際に触ってみると「なんだか商品が溶ける」「ロゴが別の文字に化ける」「気持ち悪い動きになる」という壁にぶつかる方が多いのではないでしょうか。

わたしは、この問題の大半が「プロンプトの書き方」で越えられると考えています。この記事では、商品写真1枚から5秒の縦型クリップを作るための、具体的な設計手順とコピペできるプロンプトをまとめます。

プロンプトを3つに分ける

画像から動画を作るときのプロンプトは、次の3ブロックに分けて作成してください。

  1. 何を動かすか(1つだけ)
  2. 何は動かさないか(形状・ロゴ・文字・色・個数)
  3. カメラをどう動かすか(1種類だけ)

指示を足すほど良くなるという訳ではなく、減らすほど品質が安定します。うまくいかないときは指示を足すのではなく、減らす方向でプロンプトを組み立ててみてください。

なぜこの3分割が効くのか

見た目は入力画像で完結させている

テキストから動画を作る場合、AIは被写体の形・色・質感・構図を全部ゼロから決めます。だから「高級感のある」「清潔感のある」といった形容詞に意味があります。

ところが画像から動画の場合、それらはすべて入力した画像が決め終わっています。そこへ見た目の形容詞を重ねると、AIは「画像をその形容詞に合わせて描き直す」方向に解釈します。結果として、パッケージの文字が別の文字列に変わったり、商品の輪郭が揺れたりします。

プロンプトの役割が「見た目の指示」から「動きの指示」へ変わる。この切り替えが画像から動画を生成する際の最初の分岐点です。

動かさないものを指定すると崩れる箇所が限定される

生成AIは、指示のない領域を自由に解釈します。逆に言えば、明示した領域は固定されやすくなります。

「パッケージの文字は変更しない」「本数は増やさない」「商品の輪郭は変形させない」と書いておくと、モデルはその部分を保とうとします。崩れが出るとしても、背景のボケや光の当たり方など、視聴者が気づきにくい場所に出ます。

実際に書く内容は毎回ほとんど同じなので、次の5項目を定型文にしておけば生成物が変わっても使い回せます。

  • 形状:輪郭を変形させない、引き伸ばさない
  • ロゴとパッケージの文字:字形も配置も変えない
  • 色:商品本体の色相を変えない
  • 個数:増やさない、減らさない
  • 手や人物:写っていないものを足さない

カメラワークがプロっぽさを演出する

被写体がほとんど動かなくても、カメラがゆっくり寄るだけでプロっぽい映像に見せることができます。

カメラワークの指定がないと、AIは被写体の側を無理に動かして入力画像と生成する動画の辻褄を合わせようとします。カメラの移動は物理的に自然な動きなので、被写体を動かすより崩れにくく、同じ5秒でも映像としての密度が上がります。

動画の設計を生成前に決める5つのステップ

生成ボタンを押す前に決めることが5つあります。事前に決めておくことで再生成の回数を目に見えて減らすことができます。

入力写真を選ぶ

長辺1,080px以上で、商品が画面の60〜80%を占めている写真が扱いやすくなります。縦型に書き出すなら、もとから縦位置か正方形で撮られたものを選ぶと、上下の切り落としが減ります。

避けたいのは、手や小物が画面の端で中途半端に切れている写真です。切れた部分は、AIが続きを想像して動かそうとするため崩れやすくなります。背景に別の商品や文字が写り込んでいる場合も、そこが変形しやすくなります。

また、長辺500px程度の小さい画像を無理に拡大して使うと、ディテールの欠落をAIが補完して元画像から大きく変わってしまう可能性があります。

動かすものを1つだけ決める

例えば、湯気や液体のゆらぎ、わずかな回転、光の移ろい、布のなびきといった空気感の演出を1つだけ指定します。

2つ以上書くと、モデルの中で動きが競合し、全体が不自然に波打ちます。「商品を回しながら湯気も立てて背景も流す」は、短尺では破綻することが多いです。

迷ったときは、商品本体を動かさずに済むものを選んでください。湯気や光は、商品の形を保ったまま映像に動きを与えられます。食品なら湯気や湯気の影、化粧品なら表面のハイライト、アパレルなら布の揺れが比較的扱いやすいです。

動かさないものを書き出す

前の章の5項目をそのまま貼り付けます。英語で「Do NOT change: product shape, logo, text on package, color, number of items.」と一行書くだけでも効果があります。

カメラを1種類だけ指定する

指定英語での書き方向いている商品
ゆっくり寄るslow dolly-in飲料・食品・化粧品。ラベルや質感を見せたいとき
回り込むslow orbit家具・雑貨・立体的なパッケージ
引くslow pull-out使用シーンごと見せたいとき。寄りから全体へ

移動量は5秒で画角の10〜15%程度に留めると、AIが被写体を描き直す余地が小さくなります。短い尺でカメラを2回動かすと視線が落ち着かないので、1本につき1種類に絞ってください。速度は「slow」「gentle」と明示し、手ぶれを避けたい場合は「no handheld shake」を足します。

破綻したら減らす方向に直す

うまくいかない時につい指示を足しまいがちですが、画像から動画では、指示を足すほど悪化してしまいます。動きを半分にする、副次的な動きを消す、カメラの移動量を縮める、といった指示内容自体を減らすか、表現の量を減らすことで調整してください。

たとえばロゴが崩れたなら、カメラの移動量を10%から5%に落とす。商品が波打つなら、Secondary motionの行ごと削除する。1回の修正で1箇所だけ変えると、どの指示が効いたか判断できます。

ビフォーアフターで見る書き方の差

例として、マグカップに入ったコーヒーの写真1枚から5秒のクリップを作る場合で考えてみます。

プロンプト起きやすい結果
ビフォーおしゃれなカフェの雰囲気で、コーヒーが美味しそうに見える動画にしてカップの形が途中で変わる、持ち手が2つに増える、ロゴが別の文字に化ける、テーブルの木目が流れる
アフター湯気だけがゆっくり立ちのぼる。カップ・テーブル・背景は静止。カメラは5秒かけてゆっくり寄る。ロゴと文字は変更しないカップは固定されたまま、湯気とカメラの寄りだけで映像になる

違いは語彙の豊かさではなく、指示の細かさです。ビフォーの文は、AIから見ると「全部あなたに任せます」と言っているのに近い。アフターの文は、迷う余地をほとんど残していません。

次は化粧品のボトルの場合で考えてみます。

プロンプト起きやすい結果
ビフォー高級感のある動きでボトルの形状が引き伸ばされ、ラベルの文字が崩れる
アフターボトルは完全に静止。背景の光源だけが左から右へゆっくり移動し、ボトル表面のハイライトが流れる。カメラは5秒で10%寄る商品は保たれたまま、光の移動だけで質感が出る

コピペで使える実用プロンプト

そのまま使えるテンプレートです。〔 〕の部分を置き換えてください。

You are a short-form video director. Animate the attached still image into a 5-second vertical (9:16, 1080x1920) product clip for social media.

[SUBJECT - keep identical to the input image]
Product: 〔商品名/形状・素材を1行で〕
Do NOT change: product shape, logo, text on package, color, number of items.

[MOTION - what moves]
Primary motion: 〔例: 湯気が立ちのぼる / 液体の表面がわずかに揺れる / 時計回りに15度だけ回転〕
Everything else stays still.

[CAMERA]
Shot size: 〔クローズアップ / 商品全体が入るサイズ〕
Movement: slow dolly-in, about 10% over 5 seconds. No handheld shake.
Lens feel: 50mm, shallow depth of field.

[LIGHT & MOOD]
〔例: 柔らかい自然光、朝の窓際、影は長め〕
Color: 〔例: warm neutral, slightly desaturated〕

[CONSTRAINTS]
Duration 5s, 9:16 vertical, loopable ending.
No text, no watermark, no extra hands, no morphing of the product,
no sudden cuts, no warping of the logo.

使い方

  1. 商品写真をアップロードします。長辺1,080px以上で、商品が画面の60〜80%を占めるものを選んでください。
  2. 〔 〕の中を自分の商品に置き換えます。英語のままで構いませんが、日本語対応のツールなら日本語で書いても動きます。
  3. Primary motionは1つに絞ります。2つ書きたくなったら、2本に分けて作ってください。
  4. 結果が崩れたら、次の一文を足して再生成します。
Keep everything from the previous result, but reduce the motion by half
and make the product completely rigid (no deformation of edges or text).

チェックリストと週次カレンダー

生成前チェックリスト

  • 入力画像の長辺は1,080px以上か
  • 中途半端に切れた手・小物が写り込んでいないか
  • 動かすものを1つに絞れているか
  • 変更しないもの5項目(形状・ロゴ・文字・色・個数)を書いたか
  • カメラの動きを1種類だけ、移動量つきで指定したか
  • 比率(9:16)と尺(5秒)を書いたか
  • 商用利用する予定なら、利用規約の該当条項を確認したか

運用前に確認しておきたいこと

著作権と商用利用

生成した動画を広告や商品ページに使うなら、利用規約で次の3点を確認してください。生成物の著作権が誰に帰属するか、商用利用が許可されているか、プランによって条件が変わらないか。無料プランだけ商用利用不可、という設計のサービスもあります。

入力画像の権利が自社にあることも前提です。他社のロゴ・キャラクター・実在の人物が写り込んだ写真を入力にするのは避けてください。生成物の権利が自社にあっても、入力画像の権利処理は別の問題として残ります。

AIの得意・不得意を踏まえる

得意なのは、湯気、水面、布、光、髪、ゆっくりした回転です。物理的に揺らいでいても自然に見えるものが向いています。

不得意なのは、文字の保持、手や指、細かいロゴ、複数の商品が重なった構図、速い動きです。不得意な要素が画面の主役になっている写真は、別の見せ方に切り替えた方が早く終わります。パッケージの文字を見せたいなら、商品は静止させたまま撮影し、文字は静止画のテロップとして重ねる。この割り切りで、崩れる要素をそもそも生成の対象から外せます。

無料プランと有料プランの使い分け

構図とモーションの当たりを探す段階は、低解像度の無料枠で十分です。この段階で知りたいのは「どの動きが崩れないか」だけなので、画質は必要ありません。

採用する1本が決まってから、高解像度で作り直します。最初から最高画質で回すと、クレジットも待ち時間も無駄になります。3枚の写真から3本作る場合、試行に6〜9回、本番に3回という配分が目安です。

機密情報の扱い

未発表の商品画像や社内資料を外部サービスに入れる前に、学習利用のポリシーと生成物の保存期間を確認してください。「ユーザーデータをAI学習に使用しない」と明記されているか、保存期間が何時間・何日かは、サービスとプランによって違います。発表前の商品を扱うなら、保存期間が短いプランの方がむしろ都合がよい場合もあります。

重複コンテンツとSEO

同じ商品紹介を自社ブログにも載せる場合、各SNSの説明文をそのままコピーして並べると、サイト内に似たページが増えます。動画は各SNSへ、テキストでの解説は自社サイトに1本だけ。この役割分担にしておくと整理しやすくなります。

illuminAIで画像から動画までをひとつにまとめる

静止画を整えてそのまま動画にするという工程は、画像生成と動画生成が別サービスだと、書き出しと再アップロードの往復が発生します。3枚の写真を10回以上生成し直す運用では、この往復が積み上がります。

illuminAI(イルミンエーアイ)は、株式会社ビヨンドが提供する日本語対応の画像生成・動画生成プラットフォームです。AI画像生成、AI画像編集、AI動画生成(テキスト→動画、画像→動画)をひとつのダッシュボードで扱えます。

  • 生成物の著作権は利用者に帰属し、利用規約の範囲で商用利用もできます
  • 無料プランは月20クレジット、クレジットカードの登録は不要です
  • 統合ダッシュボードで、利用状況・コンテンツライブラリ・分析レポートを確認できます

この記事のプロンプトを試す場所としても使えます。料金・機能・搭載モデルは変わることがあるため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。

まとめ

画像から動画の生成でつまずく原因は、技術の限界よりもプロンプトの書きすぎにあります。動かすものを1つに絞り、動かさないもの5項目を明記し、カメラを1種類だけ指定する。この3分割で、再生成の回数は目に見えて減ります。

週に1本の動画が重かったのは、企画が足りなかったからではなく、素材を作る工程が重かったからというケースは少なくありません。まずは手元の写真1枚を、5秒だけ動かしてみてください。